一皮剥いても骸骨にあらず アンダー・ザ・スキン

アンダー・ザ・スキン 種の捕食 Under the Skin ☆ 【BD】

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 「アベンジャーズ」シリーズのブラック・ウィドウ役で急に身近に感じるようになったスカーレット・ヨハンソン主演のSF映画。原作であるミッシェル・フェイバーの『アンダー・ザ・スキン』の映画化というよりも、原作に着想を得た「実験映画」なのかもしれない。第70回ヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門にも出品されているが、一筋縄ではいかない作品だった。

 舞台はスコットランド。白いバンを運転する美女(スカーレット・ヨハンソン)は、一人歩きをしている男に声をかけ、道を尋ねては自宅へと誘う。自宅に連れ込まれた男は暗闇の中で地面に吸い込まれるように消えてしまう。

 タイトルからするとエイリアンが人間の男性を餌食にする「スピーシーズ」のようなSF映画を連想するが、まったくそうではない。謎の美女は当たり障りのない会話を男性と交わしはするものの、極めて寡黙な作品で、説明的な台詞は皆無。彼女は名前も持たず、自宅に連れ込まれた男性がどうなるかもわからない。彼女のことを追っているのか、バイクの男(ジェレミー・マクウィリアムス)たちが何度も登場するが、その正体も不明。結局、最初から最後までわからないことだらけなのだ。特典映像のインタビューを見ると、白いバンには数台の隠しカメラが仕込まれ、道を尋ねられる男性の多くは素人だったらしい。あえて説明することなく、解釈を観客に任せる作品のようだ。

 スカーレット・ヨハンソンがヌードを披露したとなれば「過激なオールヌードで挑む最高傑作!」や「彼女は宇宙から来た、孤独な捕食者(エイリアン)」などという文句で宣伝せざるを得ないのだろうが、その点に関しては正直言って期待外れ。ブラック・ウィドウのスカヨハはセクシーだと思うものの、この作品の彼女はセクシーさよりも奇妙さを感じさせる。ワイド画面(16:9)のせいではあるまいが、暗闇で全てを脱ぎ捨てた彼女のスタイルは妙に寸詰まりに見えた。もしかすると、それも狙いなのかもしれない。

 一皮剥けば美女もみな骸骨とはいうものの、スカーレット・ヨハンソンのような魅力的な女性を見ていると、やっぱり皮が問題なのだと思う。 

作品データ
監督:ジョナサン・グレイザー 出演:スカーレット・ヨハンソン、ジェレミー・マクウィリアムス他
製作年:2013年 製作国:イギリス、アメリカ、スイス


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