年齢の説得力　ポリス・ストーリー／レジェンド: 案山子庵（かかしあん）　KAKASHI-AN

年齢の説得力　ポリス・ストーリー／レジェンド

2014年12月13日

ポリス・ストーリー／レジェンド　警察故事2013　POLICE STORY 2013　☆　【ＢＤ】

　ジャッキー・チェン主演による「ポリス・ストーリー」または原題に「警察故事」の名を冠した作品の６作目。邦題に「ポリス・ストーリー」とあっても、「新ポリス・ストーリー」や「香港国際警察／NEW POLICE STORY」などはオリジナルの「ポリス・ストーリー」とつながりはないが、この作品も先行作品と直接的な関係はない。

　ひとり娘のミャオ（リウ・イエ）に呼び出されてナイトクラブを訪れたベテラン刑事ジョン（ジャッキー・チェン）は、理由もわからないままオーナーのウー（ジン・ティエン）に居合わせた客とともに監禁されてしまう。ウーは５年前に起きたある事件の関係者を集め、事件の真相を明らかにしようとしていた。

　ついに還暦を迎えたジャッキー・チェン。最近では一歩引いたポジションで、若い頃とは違ったシブい演技を見せることも多くなった。それなのに、いまさら「ポリス・ストーリー」かよ、と思わないでもなかったが、その心配は杞憂に終わった。再び世界に飛び出したジャッキーは、自分というものをよくわかっているらしい。この作品の刑事ジョンは、いままでのようなスーパーマン刑事ではなく、年相応の落ち着きと判断力を備えており、その主人公を活かすためにストーリーや設定も十分に考えられている。閉鎖された空間と、人質を取られた不自由な状況で、否応なくジョンは冷静な判断と行動を取らざるを得ない。もちろん、アクションも必然性のある戦いをじっくりと見せ、軽やかさよりも痛みが伝わる説得力があるものになっている。アクションやドラマ設定にムエタイも取り入れているところを見ると、香港映画に代わって台頭してきたタイのアクション映画を意識しているのかもしれない。さらに、ひとり娘ミャウとの関係もしっかりとストーリーに絡み合い、アクション以上にドラマでも惹きつけている。

　かつてのような華々しさはないが、「ジャッキー・チェン」という名前だけに頼らない作品になっていたような気がする。まだまだ、ジャッキー・チェンからは目が離せそうにない。

作品データ
監督：ディン・シェン　出演：ジャッキー・チェン、リウ・イエ他
製作年：2013年　製作国：中国