マジックのトリックを巧みにストーリーに組み込んだ、外連味たっぷりのクライム・アクション映画。有名マジシャンのデヴィッド・カッパーフィールドも協力したらしい。現実には実行不可能なマジックも、映像の力を借りれば実現可能。文字通りの・グランド・イリュージョンが展開される娯楽作品である。
ラスベガスで行われた4人組のマジシャン「フォー・ホースメン」のショーと同時進行で、パリの銀行から大量の現金が盗まれる。FBIとICPOは彼らに張り付くが、犯行の証拠はつかめず、マジックのトリックを見破るプロであるサディアス(モーガン・フリーマン)に助けを求める。ニューオーリンズのショーでは保険会社の社長トレイスラー(マイケル・ケイン)の預金全額が観客の口座に移動する。彼らの目的もトリックも謎のまま、ニューヨークで最後のイリュージョンが行われる。
キャストは、ジェシー・アイゼンバーグも含めていかにも「売り出し中」という雰囲気がいい。ジェシー・アイゼンバーグは「ソーシャル・ネットワーク」で華々しく表舞台に躍り出たとはいえ、露出は控えめでまだ色がついていない。彼が演じたダニエルは、既視感のないカッコよさだった。また、ホースメンの紅一点ヘンリーを演じたアイラ・フィッシャーも、アラフォーとは思えない華やかさがあった(メイキング映像の素顔とはかなり違う)。ヒットを狙うなら主演作を何本も持っている若手スターを並べればいいのだろうが、フォー・ホースメンのフレッシュさや軽やかさはこの一見地味なキャストにあるのだ。そして両脇にマイケル・ケインとモーガン・フリーマンという重鎮が座ったことで、単に軽いだけではない、渋い味も出た。
全編を通してスピーディな展開で、ワクワクするような楽しさがあったが、オチだけはいただけない。このテの作品にはありがちな結末とはいえ、「やられた!」というよりは「それはないでしょ!」という印象だ。ラストでのどんでん返しを狙うなら、FBIのディラン(マーク・ラファロ)ではなく、ICPOのアルマ(メラニー・ロラン)の視点を中心に物語を進めるべきだったろう。
作品データ
監督:ルイ・ルテリエ 出演:ジェシー・アイゼンバーグ、マーク・ラファロ他
製作年:2013年 製作国:アメリカ
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