ひさしぶりのインド映画。ボリウッドの大スターであるアミダーブ・バッチャンが「アラジンと魔法のランプ」のランプの魔人を演じるファンタジー作品で、2009年の作品だが、2014年1月に日本版が発売されている。
タイトルは「アラジン」そのものだが、DVDのジャケットにある「名作『アラジンと魔法のランプ』を完全映画化!」という宣伝文句は全くの偽り。アラジンという名前のために幼い頃からいじめられていた青年アラジン(リテーシュ・デーシュムク)が、クラスに交換留学生としてやってきたジャスミン(ジャクリーン・フェルナンデス)に一目惚れし、彼女に誕生プレゼントとしてもらった古いランプから出てきたランプの魔人ジーニアス(アミダーブ・バッチャン)の助けを借りて恋を成就させる物語なのだ。ただし、単なる恋愛ファンタジーではなく、アラジンの両親を死に追いやり、ランプの力を借りて世界征服を企む魔人リングマスター(サンジャイ・ダット)との戦いもあり、後半はアクションシーンもたっぷり。もちろん、インド映画になくてはらならないミュージカルシーンも満載である。
ストーリー的にはアラジンとジャスミンが中心なのだが、存在感を発揮しているのはアミダーブ・バッチャン。インド下院の国会議員も務めたことがあり、まもなく72歳になる超大物である。さすがにランプの魔人だけあって年齢不詳で、撮影当時70歳に近い後期高齢者にはとても見えない。歌や踊り、アクションにも華とキレがあり、何より大人の男性の色気がある。タイプは違うが、ラジニカーントがいまなお現役で人気を博していることも頷ける。また、ジーニアスのライバル魔人リングマスターを演じたサンジャイ・ダットも、インド映画界の重鎮(彼も政治家として活動しているらしい)。2人のベテランがこの作品をしっかり締めており、どこかの国のガキ文化と異なるインド文化の成熟度の高さを示している。
もちろん、演技派のリテーシュ・デーシュムクもコンプレックスを抱えた青年を好演し、ミスユニバースのスリランカ代表だったジャクリーン・フェルナンデスも作品に華やかさを添えている。「魔法のランプ」というアイテムを活かした、歌あり踊りありの楽しい世界は、まさにインド映画にぴったりだった。ちなみにリテーシュ・デーシュムクやアミダーブ・バッチャンは、「恋する輪廻/オーム・シャンティ・オーム」にもちらっとだが、姿を見せている。
惜しいのは日本語吹替音声がないこと。これほど楽しい作品なら娘たちと一緒に楽しみたかった。
作品データ
監督:スジョイ・ゴーシュ 出演:アミダーブ・バッチャン、サンジャイ・ダット他
製作年:2009年 製作国:インド
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