まさに百花繚乱 チャイニーズ・フェアリー・ストーリー

チャイニーズ・フェアリー・ストーリー 画壁 Mural ☆ 【DVD】

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 個人的に最も好きな香港映画の一つである「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」と同じく、『聊斎志異』を原作にした、人間と仙女の愛を描いたSFファンタジー映画。ジャケットにも「姉妹編」という表現はあるが、決して二番煎じの作品ではない。「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」の成功以降、日本にも『聊斎志異』を原作とした香港映画が多数紹介され、佳作も少なくないのだが、登場する女優のクオリティの高さではこの作品は群を抜いていると言っていい。
 舞台は美しい仙女たちが住む天上界で、仙女たちにはそれぞれ花の名前がつけられている。主人公の書生を天上界に導いた牡丹を演じたのはジェン・シュアンというテレビを中心に活躍する中国の女優で、彼女が何ともかわいらしい(「プロテクター」のムーン・リーに印象が似ているかもしれない)。そして天上界に導かれた書生と恋に落ちるヒロインが「三国志英傑伝・関羽」で劉備の妻を演じたスン・リー。この2人だけでもすっかり魂を奪われてしまいそうなのだが、それ以外にも名前のわからない美人女優が勢揃いしており、それぞれに見せ場がある(全体的にはフジテレビのアナウンサー的な雰囲気)。しかし、「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」でジョイ・ウォンらが見せた妖艶さとは違って、彼女たちは清楚でほとんどセクシーさを感じさせないところも特徴的。それがまた40代後半のおじさんにはたまらない。
 書生を演じたドン・チャオは「王朝の陰謀」でアンディ・ラウの部下を不気味に演じていたが、今回はうって変わって好青年。「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」のレスリー・チャンを彷彿とさせる。ところが、惜しいことに彼が演じた書生の朱孝廉のキャラクターがどっちつかずだった。物語の後半では誠実な男なのだが、前半は軽薄な若者という雰囲気なのだ。レスリーが演じたツァイサンのようにあくまで誠実であってこそ、ラストがさらに感動的になったはず。しかし、完全な悲恋に終わった「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」とは異なり、愛する者と結ばれなくても、さわやかな印象を残してラストを迎えることができた。
 見終わってみるとアクションが中心の映画ではなく、ファンタジーに欠かせないおどろおどろしさもさほどではない。手に汗握るストーリー展開というわけでもないのに最後まで惹きつけるのは全体のバランスのよさなのだろう。美女たちに圧倒され、それだけで幸福感を得る作品だが、名優エリック・ツァンが最初と最後をきっちりと締め、キャストの面でも、ストーリーの面でも、丁寧に作られている点は好感が持てる。

作品データ
監督:ゴードン・チャン 出演:ドン・チャオ、スン・リー、ジェン・シュアン他
製作年:2011年 製作国:中国・香港


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アメイジングD.C.
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