「チョコレート・ファイター」(この邦題にも違和感)の”ジージャー”ヤーニン・ウィサミタナンの作品だと思って見ると物足りなさを感じるのだが、テコンドーをテーマにした韓国映画にジージャーが特別出演していると考えると、十分に合格点を与えられる作品である。
バンコクでテコンドー道場を開いている韓国人一家(チョ・ジェヒョン、イェ・ジウォン、テジョー、Kキム)の4人ともそれぞれにキャラが立っており、「家族愛」といういかにもアジア人好みのテーマをしっかりと描ききっているだけでなく、テジョーとKキムが演じる兄妹のテコンドーがいかにも本格的で、説得力は十分にある(あくまでも、素人の目から見て)。
また、前半の宝刀を奪い合うアクション・シーンはプラッチャヤー・ピンゲーオ監督の得意とする演出で、空間の使い方が巧いし、スピード感もある。そこにタイ映画ではお馴染みの俳優マム・ジョクモック(ペットターイ・ウォンカムラオ)とジージャーが加わるのだから、これはこれで素直に喜んでいいのではないだろうか。確かにジージャーの見せ場は少ないし、彼女には台詞らしい台詞もほとんどない。彼女の身体能力をもっと韓国の映画ファンにアピールしてほしかった。しかし、「チョコレート・ファイター」や「チョコレート・ソルジャー」に比べると、素に近い彼女の魅力が画面を通じて伝わってくる。辛口のレビューが多いのも理解できるのだが、タイ映画と韓国映画の両方のファンとしては、豪華なプレゼントとして受け取っておこう。
もちろん、邦題とDVDジャケットについては他の多くのレビューと同意見。韓国映画として宣伝するよりもタイ映画として宣伝した方が売れると踏んだのだろうが、かえって逆効果だったような気がする。
作品データ
監督:ブラッチャヤー・ピンゲーオ 出演:テジョー、Kキム、
”ジージャー”ヤーニン・ウィサミタナン、ペットターイ・ウォンカムラオ他
製作年:2011年 製作国:韓国、タイ
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