「ザ・サンクチュアリ」に先駆けて作られたマイク・B主演のアクション映画。冒頭の軽薄な登場の仕方は30年ほど前の香港アクション映画を思い起こさせる。明らかにジャッキー・チェンを意識したキャラクター設定なのだが、百歩譲ってもサミュエル・ホイがいいところ。もっとも、当時、香港ではサミュエル・ホイもスーパースターだったのだが。
「ザ・サンクチュアリ」よりはマイク・Bのキャラクター設定に無理がないと感じたが、致命的なのはやはり彼の顔。日本人のタレントでいうとコロッケか、はなわのイメージに近いかもしれない。設定上はおっちょこちょいで短気なので、コロッケでもはなわでも構わないようなものだが、彼らが激しいアクションを見せるとなると話は別。とにかく華がないのだ。ハリウッド映画ではスタントマンとして活躍したというマイク・Bも、表舞台に出るのはやや無理があるようだ。彼の義兄を演じたアフドリン・シャウキの方がいい味を出していた。
アクション・シーンは多く、特にビルの建築現場でのアクションは迫力満点。しかし、どうしても既視感がつきまとう。はるか昔にジャッキーが見せたアクションと重なってしまうのだ。そういえばマイク・Bの格闘スタイルもヒジやヒザを使うところはムエタイ式だが、ほとんどはカンフー・スタイルである(ちなみにDVDのジャケットには「本格タイカンフーアクション映画」とあるが!?)。
ストーリーは、クレジットカードの個人情報盗難事件をベースにひねった展開になっており、ヒロインのスパクソーク・チャイモンコンが可愛いだけではなく重要な役どころを演じている。ただし、主人公と恋仲になるお決まりのパターンではない。ネームバリューのある彼女ではマイク・Bとは釣り合わないので、事件の鍵を握る重要人物としてキャスティングされたのだろう。
さて、タイ本国はともかく、日本でこのあとマイク・Bにお目にかかることができるのだろうか。
作品データ
監督:タナポン・マリワン 出演:マイク・B(パイロート・ブンクート)、アフドリン・シャウキ、スパクソーク・チャイモンコン他
製作年:2007年 製作国:タイ
この記事へのコメント
サム大好き
ジャッキーが世界的な大スターなのは認めますが、地元香港では過去も現在もジャッキーは殆ど人気はなく、ジャッキー自身もサムのファンであり、サムを尊敬する芸能人として昔から上げています。
ちなみにmr.booが日本でヒットしたからこそ、それに抱き合わせでジャッキーの映画が配給されたので、ホイ兄弟作品がなければジャッキーの映画は日本公開されていません。
ブログとは言え、あまり知らない事を書かれるのはどうかと思いますが。
案山子
気分を害されたのであればお詫びいたします。
私にとってサミュエル・ホイは歌手としてのイメージが強く、当時のアクション映画に出ていたサミュエル・ホイの印象と、今回の作品のマイク・Bが重なったということを書いたつもりでした。サム大好きさんは年季の入った香港映画ファンとお見受けします。これからもいろいろと教えていただれば嬉しいです。
また、マイク・Bの作品を見ての感想も教えていただければ幸いです。