日本での公開当時の評判はパッとしなかったので期待をせずに見たが、なかなかどうして悪くない出来。評判がいまひとつだったのは、ニコラス・ケイジが「最強の暗殺者」を演じるということで、スリリングな展開を期待した人が多かったからではないだろうか。オリジナルであるタイ映画「レイン」を見ていれば、パン兄弟が作りたかったのはサスペンス映画ではないとわかったはず。当然、期待するのはドラマの部分ということになる。
枠組みは「レイン」をなぞってはいるものの、人物関係や設定をハリウッド的に微調整しているために、オリジナルから感じられる哀感は薄まってしまった。それでも、いい歳をしたニコラス・ケイジにしては、十分健闘していると言っていい。連絡役のコンを演じるシャクリット・ヤムナームと徐々に気持ちが通じ合うところや、思いを抑えて耳の不自由なレイン(チャーリー・ヤン)と付き合っていくところなど、紋切り型のハリウッド的単純さで処理しなかったところにパン兄弟の矜持が感じられる。
そして、セルフリメイクだから当たり前かもしれないが、パン兄弟のオリジナルへのこだわりも随所に垣間見えた。自分の頭越しに敵を撃ち抜こうとするラストシーンを始めとして、「レイン」で見られた印象に残るシーンが蘇る。それにも関わらず、オリジナルをほとんど思い出すことなく最後までこの作品を見てしまったのは不思議だ。そう考えると、このセルフリメイクは逆説的な成功例なのかもしれない。
「香港国際警察/NEW POLICE STORY」でジャッキー・チェンの恋人役を演じたチャーリー・ヤンが、この作品でも印象深い役を演じている。「香港国際警察」では爆破に巻き込まれ傷を負ってしまうが、今回は耳の不自由な薬局店員の役。しかし、声を出さなくても、それを補ってあまりある演技力で、見る者の胸を打つ。ストーリーそのものがアメリカ人にピンとこなかったとしても、彼女の演技は印象に残るはず。
オリジナルとは違った味わいであるが、別エンディングも含めて十分に鑑賞に値する作品である。
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オリジナルの「レイン」については、このブログの「タイ映画」から「国籍不明 レイン」(2006/5/14)を参照されたし。
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ストーリーはありがち ...
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