このテの日本映画は薦められなければ自分からはまず見ないのだが、友人に薦められて出会うことのできた作品。重苦しいテーマながらも最後にはしっかりと泣けた。
主人公たちは最後まで強盗殺人犯の家族という重荷を背負って生きなければならないことからは解放されないのだが、彼らならば「差別されながらもこの世界で生きていく」ということができるのではないかと期待を抱かせるラストシーンに救われた。
主人公はそのときどきで夢をつかみかけるが、そのあとの展開は容易に予想がつき、お笑い芸人としてテレビに出演するようになっても、美人令嬢の恋人ができても、見ている側としては全くほっとすることができない。主人公をずっと見守り続ける沢尻エリカの存在も後半に入るまではいかにも頼りない。しかし、重苦しい浮き沈みを繰り返しながらも後半に入ると救いが見えてくる。杉浦直樹演じる電器店会長の登場には見ている我々も元気をもらい、ラスト近くの吹越満演じる被害者の息子との最初で最後のやりとりは、涙なくしては見られない。刑務所での漫才シーンより、吹越満とのやりとりがクライマックスだったようにも思われる。
キャストはいかにもテレビ的だったが、展開は思ったほどはテレビ的でなく、最後まで緊張感を失わずにまとめられていたように思う。原作を読まずに見ると正解の作品なのだろうか。
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