楽しい物語ではなく、むしろ哀しくつらい物語なのだが、決して後味は悪くなく、爽やかな感動さえ残る。喜怒哀楽が絶妙なバランスで配分されている名作である。
「JSA」「SPYリー・チョルジュン」「親切なクムジャさん」「オールドボーイ」などで存在感を見せたシン・ハギョン、チョン・ジェヨン、カン・ヘジョンらの、実は豪華キャストも決して出しゃばることなく、それぞれの役柄になりきっていて、特典映像の「キャスト&スタッフ」を見て初めて彼らに気づいたくらい。彼らだけではなく、その他の南北の兵士たちも、トンマッコルの村人たちも誰もが魅力的なのだ。
前半はただただおかしくて、朝鮮戦争を戯画化して笑い飛ばす作品なのかと思ったが、朝鮮半島の人々にとっては、まだ朝鮮戦争は終わっていないのだろう。日本人にとっても拉致事件という未解決の問題があるので他人事ではないのだが、いかんともしがたい厳しい現実が最後には待っている。しかし、兵士たちも最後には救われたのではないかと思わせるところが後味を爽やかなものにしている。
これも同僚に薦められて見た作品だが、彼には足を向けて寝られない。
トンマッコルへようこそ
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